水草やストローが野菜スープに!三菱地所が実現したサーキュラーエコノミーとは?

三菱地所グループが運営するシティホテルチェーンのロイヤルパークホテルでは、8月末から生分解性ストローを使った堆肥で栽培したサステナブルな野菜を使ったスープが提供されています。このスープはまさに、三菱地所がグループで取り組んできた、サーキュラーエコノミー(循環型経済)が実現して生まれた一品です。今回は8月19日に行われたメディア向け発表会を取材しました。三菱地所グループが取り組んでいるサステナブルな活動について、詳しくご紹介します。

皇居のお濠を浄化する活動からスタート

三菱地所グループの資源循環の取り組みは今に始まったことではありません。三菱地所株式会社(以下 同社)サステナビリティ推進部長の榑林康治さんによると、同社は街づくりの一環として皇居の景観や貴重な自然、歴史、風格を未来に残す取り組みを2015年からスタートしました。その取り組みの一つが、大手門タワー・ENEOSビルにある皇居外苑濠水の大規模な浄化です。

皇居外苑濠は、近年の水質悪化や環境の変化によって水草などの生物相が貧弱になってしまい、本来あるべき種の自然発生や定着が難しい状況になっているそうです。そこで同社は民間で初めてお濠の浄化施設を導入しました。お濠の浄化によって在来種や希少な水草などの生態系の保護に寄与したといいます。

希少な生物の保全、復元にも取り組む「濠プロジェクト」

その後、本格的に皇居周りの生物多様性の保全や復元にも取り組むべく、環境省と協定を締結し、大手町にあるホトリア広場を活用した「濠プロジェクト」をスタート。「ホトリア」は、皇居外苑濠を意味する「ほとり」と、場所を表す名詞の語尾「ia」が由来であり、「お濠のほとりに豊かな空間を」という意味が込められています。

皇居のほとりに人と自然の共生をテーマにした約3,000㎡の緑地を整備し、環境省から皇居のお濠由来の希少な水草の提供を受け、民間事業者として初めて系統保全を行ってきました。

主な取り組みは、生物調査や在来種の保護、広場のビオトープへの濠の生物導入、保全などです。お濠の中に入って泥から水草や水生物の種子を採取し、違うビルの屋上で栽培するなどして貴重種の復元に取り組んできました。

そうした中、2020年には東京都の「レッドリスト2020(東京都の保護上重要な野生生物種)」にて絶滅したとされる植物「ミゾハコベ」の復元に成功。このように官民連携で社会問題解決に向けた取り組みを行い、結果を残しています。
【参照資料】東京都の保護上重要な野生生物種(本土部)2020年版

都市と地方をつなぐ資源の循環を実現!「堆肥プロジェクト」

また遡ること2008年。同社は、山梨県で活動している「NPO法人えがおつなげて」とともに「空と土プロジェクト」を立ち上げました。これは高齢化や過疎化が進む限界集落地域に行き、現地の耕作地の開墾などを行います。都市と農山村、相互が抱える問題の見える化及びその解決で、地域社会との共生を目指すプロジェクトです。

その流れから2019年には「⼤地への恩返しプロジェクト」もスタート。⼭梨県、⻑野県にまたがる⼋ヶ岳地域を活動拠点として、地域の課題であるコミュニティ形成や地元資源の活用に寄与する活動に取り組んでいます。

この「大地の恩返しプロジェクト」のパイロットプログラムが、地域課題の解決と循環型社会の形成を⽬指す「堆肥プロジェクト」です。きっかけは、皇居のお濠に毎年大量発生するヒシを、環境省が毎年除去していることを知ったことだそう。皇居外苑濠から刈り取った水草「ヒシ(菱)」を堆肥化したものを、山梨県北杜市の協力農家へ提供。玉ねぎやトウモロコシ、キュウリなどさまざまな野菜を栽培してもらいます。堆肥を用いて作られた野菜は買い取り、三菱地所本社カフェテリアやロイヤルパークホテルズで食材として利用します。こうして、都市と地方をつなぐ資源循環のシステムを構築していきます。

使用済み分解性ストローを「堆肥化」して栽培した野菜を食べる

三菱ケミカルが開発した生分解性樹脂「BioPBS™」は、土中の微生物の力で水と二酸化炭素に分解される素材で、同社のサステナブルな活動に深く関わっています。この「BioPBS™」は農業用マルチフィルムや、使い捨て食器や紙コップ、ストローなどの用途で使用されている素材です。三菱地所グループでは、「BioPBS™」を使っている食器やストローをロイヤルパークホテルズの飲食店舗などで使用しています。

三菱地所グループは、この生分解性ストローから成る堆肥を用いて、長野県諏訪郡にある協力農家で栽培された野菜を買い取る流れを構築。これらのサステナブルな野菜を使ったスープが、この度、ロイヤルパークホテルズの一部で提供されています。

つまり、三菱地所グループでは皇居外苑濠の水草や使用済み生分解性ストローを堆肥として活用して栽培した野菜を使ったスープを提供。グループ全体で、限りある資源を取りこぼすことなく、ぐるりと循環させるサーキュラーエコノミー(循環型経済)を実現しているといえます。

サステナブルなだけじゃない!美味しい野菜を使った絶品スープ

スープはオニオンスープとトウモロコシのスープの2種類。使われているのはヒシを含む堆肥で栽培された玉ねぎと生分解性樹脂の堆肥化プロジェクトの過程で栽培されたトウモロコシです。

メディア向け発表会ではまず、この玉ねぎとトウモロコシを生の状態で試食させてもらいました。

玉ねぎもトウモロコシもとにかくその甘さにビックリ!フルーツのような瑞々しさと甘さが口いっぱいに広がりました。中でもトウモロコシはシャキシャキとした食感もあって、りんごやスイカのような味わいでした。糖度が18度もあり、これは通常のメロンや桃よりも甘い度合いなのだとか。

今回のスープを監修した横浜ロイヤルパークホテル総料理長の髙橋明さんによると、この玉ねぎとトウモロコシの本来の美味しさを活かすべく、できる限り乳製品を使わずに仕上げているそうです。

温かいオニオンスープと冷製のトウモロコシスープも試食させてもらいました。

オニオンスープは砂糖が入っていないのにとても甘く、後味にも玉ねぎの瑞々しさが残る美味しさでした。

またトウモロコシのスープは、大袈裟ではなく、まるでフルーツのスムージーのような味わい。どちらも今まで飲んだスープとはまったく違う味に終始驚きっぱなしでした。

「地産地消」を意識したサステナブルなホテルを目指すロイヤルパークホテルズ

ロイヤルパークホテルズでは、ホテル館内の過ごし方においてもSDGsの達成に向けた取り組みを積極的に行っています。その一例がザ ロイヤルパーク キャンバス 札幌大通公園。

ザ ロイヤルパーク キャンバスは、地産地消をベースに「北海道を体感する」ことをコンセプトにしたライフスタイルホテルです。客室のほか、ロビー空間などのインテリアにも北海道産木材を活用しています。また歯ブラシやヘアブラシなどアメニティの一部は籾殻(もみがら)を原料にした環境に配慮したアイテムを用意。その土地に根付き、その土地を愛することができるホテルで、サステナブルな宿泊体験を楽しむことができます。


「三菱地所グループのサステナビリティビジョン2050」において、「Be the Ecosystem Engineers」というスローガンを掲げる、三菱地所グループ。立場の異なる個人や企業が、経済や環境、社会のすべての面で、持続的に共生関係を構築できる場と仕組み(=エコシステム)を提供する企業(=エンジニアズ)であることを目指しているそうです。

これからも同社の取り組みだけに限らず、ロイヤルパークホテルやグループ企業の研究など、さまざまな活動に期待したいところです。なお今回のサステナブルな野菜を使ったスープは10月31日(日)までの期間限定で無くなり次第終了の数量限定なので、気になる方は早めにチェックを。

【参照サイト】ロイヤルパークホテルズ
【参照サイト】三菱地所
【参照サイト】NPO法人えがおつなげて
【参照サイト】BioPBS™

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Life Hugger 編集部

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