「中央区の森」って知ってる?森林保全や森の魅力を区の環境推進課に聞いてきた!

中央区の森

Life Huggerを運営するハーチ株式会社では、今年度から社会がよくなる仕組みづくりに貢献するため、事業収益の一部を寄付するプロジェクト「UU Fund(ユーユーファンド)」をはじめました。Life Hugger編集部では、所在地である東京都中央区に還元したいとの想いから、同区とパートナーシップ協定を結んでいる「NPO法人中央区森の応援団」に寄付をすることを決めました。

今、日本では、地球温暖化防止や森林を整備・管理する財源とするため、平成31年に森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律が成立し、令和6年度からは1人年額1,000円の森林環境税を徴収することが決まっており、国をあげて森林保全に本腰をいれた取り組みが進められています。

こうした背景もあり、今回、Life Hugger編集部では、中央区が行っている森林保全活動である「中央区の森」事業について、中央区環境推進課の方に詳しくお話を伺ってきました。

目次

事業が始まった経緯

深刻化している地球温暖化を防止するために、平成17年2月には京都議定書が発効されるなど、温室効果ガスの削減は国際的な課題となっています。中央区でも、この課題を克服し、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを率先して行っていく決意を、今年3月に「ゼロカーボンシティ中央区宣言」として表明しました。

中央区は都市活動が活発な地域であり、ほかの都市に比べても温室効果ガスの排出量が多いものの、森林がない土地柄もあり、行政区域を越えた広域的な地球温暖化対策推進事業として、東京都西多摩郡檜原村にある「中央区の森」で森林保全活動を始めました。

檜原村は中央区から直線距離にして約57km西にあります。その檜原村がある多摩地区には、かつて戦後復興の一環で、成長が早く建築用木材として経済的価値が高い、杉やヒノキなどの針葉樹がたくさん植えられました。しかし、その後、安価な外国の木材の輸入により、木の建材としての需要が減ったほか、林業に携わる人々も減ったことから、林に人の手が行き届かなくなり、放置されるようになっていました。そこで、檜原村と協定を結び、「中央区の森」として保全する事業をはじめました。

事業で取り組んでいること

森林保全の活動としては、主に間伐や植樹、そして植樹した苗木の生育に支障を及ぼす雑草や低木を刈り取る下刈りなどの森林整備を実施しています。

手入れがされていない森林は全体に日光が行き届かなくなり、低木や草などの下層植生が消失し、降水を蓄え河川へ流れ込む水の量の調整や水質浄化を行う水源涵養(かんよう)機能が低くなります。そのため、混みあった木の一部を切り、木と木に適度な間隔を作る間伐が必要になります。「中央区の森」では間伐後に広葉樹などを植樹することにより、檜原村に本来ある自然豊かな森をつくることを目指しています。

中央区の森 間伐の様子

そして、森林保全について普及・啓発する活動として、一般向けの「中央区の森体験ツアー」を年2回(春・秋)、親子向けの「中央区の森親子自然体験ツアー」を年1回実施しています。「中央区の森体験ツアー」では、間伐や炭焼き、植樹などを体験できます。また、「中央区の森親子自然体験ツアー」では、ネイチャーゲームや間伐デモンストレーション、近隣の川での川遊びなどを体験できます。

中央区の森親子自然体験ツアー

さらに、森林整備の際に生じた間伐材を利活用しています。区内施設の整備や、児童館のおもちゃ、ノベルティグッズなどに活用するほか、木工ワークショップも実施しています。ワークショップでは木の温もりを感じることができ、参加した子どもからも「木のいい匂いがする!」と好評です。

森の保全状況について

現在、檜原村の4地区と協定を結んでいます。最初は檜原村の数馬地区(当初は約3.5ha、現在約37.4ha)から始まり、平成24年度から南郷地区(約4.9ha)、平成30年度から矢沢地区(約4.4ha)、今年度からは本宿(もとしゅく)地区(約4.6ha)と徐々に規模を広げ、間伐や植樹などを進めています。民有林である数馬地区の森は、地元のNPO法人が整備にあたり、村有林である南郷地区、矢沢地区、本宿地区の森は、森林組合が整備しています。

数馬地区と南郷地区は整備が一巡し、森林内の環境も改善されました。数馬地区では、間伐によって森の中に光が入り、土の中で眠っていた種子が発芽し、間伐前には見られなかった植物がふたたび見られるようになりました。また、南郷地区では、手入れされず荒れていた針葉樹の人工林を約8割間伐し、もともとこの土地に生育していたコナラやカエデなどの広葉樹を植樹することで、自然豊かな森への復元を進めています。

なかでももっとも面積が広い数馬地区は歩道を整備し、「中央区の森」の看板やベンチも設置しています。ハイキングコースとして、区民に限らず誰でも自由に入ることができます。無料の駐車場もあります。

森の魅力、おすすめの時期

数馬地区にはかつて片栗粉の原料として使われていたカタクリなど、都会では見られない植物をたくさん見ることができるのが魅力です。都心と違い、冬は多いときは20~40cmほどの降雪があるため、時期は4月から11月ころ、なかでも秋が一番おすすめです。色づいた紅葉を楽しむことができます。

安全・安心な散策のための注意点

数馬地区は、標高992mの大羽根山につながっており、山頂まで登ると往復で2時間弱かかります。登り口が620m付近にあり、山頂までの標高差は350mほどです。

山頂よりかなり手前、標高650m付近のどんぐり苗の植栽地あたりまでは小学1年生でも散策を楽しんでいます。しかし、斜面が急な場所もあり、体力がある児童であれば登ることができますが、低山でも登山ですので周到な準備は必要です。散策の際は長袖の服を着て、滑らないような靴を履いてきてください。ハイキングの際は、日の出以降に登りはじめ、15時くらいまでにふもとに戻るようなスケジュールで行動してください。

中央区の森体験ツアー

森周辺のおすすめスポット

檜原村の観光組合のウェブサイトにも載っているように見所はいろいろありますが、日本の滝百選に東京で唯一選ばれている「払沢の滝(ほっさわのたき)」がおすすめです。あとは登山や渓谷散策のあとに立ち寄れる温泉として「数馬の湯」があります。周囲は自然に囲まれており、ヌルっとする浴感のアルカリ性単純温泉で汗を流すことができます。また、今年の7月には檜原村の特産品のじゃがいもを使った芋焼酎の工場である「ひのはらファクトリー」が完成予定です。さらに11月には「檜原森のおもちゃ美術館」がオープンし、木でできたおもちゃの展示や、ワークショップなどが行われる予定です。

課題や今後の活動について

中央区の子どもは自然に触れることが少ないので、森林体験を通じて、木や土、水に触れる機会を増やしていきたいと考えています。今後どのような取り組みができるのか、模索しています。

また、区内外の方に「中央区の森」の存在を知ってもらい、利用していただけるように、積極的に情報を発信していきたいと考えています。カーボンニュートラルに向けて「中央区の森」が担う役割や、二酸化炭素の吸収量といった地球温暖化防止に関わる積極的な発信ができればと考えています。

読者へのメッセージ

中央区を含め都心部では、自然に触れる機会が少ないのが現状です。都市の活動が環境に負担をかけていることや、森林が二酸化炭素を吸収する役割を担うことを身近に感じるためには、実際に自然を感じられる場所に行き、自然に触れることが大切です。そして、「中央区の森」を散策しながら、少しでも自然の大切さを感じていただければと願っています。そのためにも「中央区の森」事業を継続することで、環境にやさしい未来へとつないでいきたいと思っています。

編集後記

都市部で生活していると、普段の生活の中でいかに森林の恩恵を受けているかということを忘れてしまいがちです。お話を伺ったことで、あらためて森林を再生していくことの大変さや、時間をかけて取り組まれている一大事業だということがわかりました。そして、環境に負担をかけて生活している分、少しでも環境に負担がかからない選択をしていくことの大切さを学ぶことができました。

「中央区の森」は、都会の喧騒を離れ、自然を体感できる絶好の穴場スポットです。普段自然に触れる機会が少ない都会暮らしの方は、五感を解放しに訪れてみてはいかがでしょうか。

中央区の森へのアクセス

中央区の森 アクセス

【参照ページ】中央区の森
【参照ページ】中央区
【参照ページ】檜原村
【参照ページ】NPO法人 中央区森の応援団
【参照ページ】払沢の滝
【参照ページ】数馬の湯
【参照ページ】檜原森のおもちゃ美術館
【参照ページ】林野庁 花粉について
【参照ページ】針葉樹・広葉樹について

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Life Hugger 編集部

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